自由企画工房　atelier free plan

　もう長い間絶版になっている本で「クリエイティブ・イラストレーション」という書籍がある。再販をかなり期待しているのだが、未だに書店に並んでいるのを見ないという事は、多分無理？
他の著作は何度も再販されているのに、だ。
一度問い合わせた事があるが、「絶版です」という何ともそっけない返事だけだったので、ちと寂しかったw

アメリカで出版された本だが、翻訳版が出版されたのが1977年とあるので、もう30年位前の本である。

しかしながらイラストレータとしての心得など多岐にわたって細かく記されているのが嬉しい。
特に商業イラストレーションとは何かに関して、実に細かく考察されている。



この本の中に「線について」の考察がある。

線は基本的な７つの機能を有する

1.線固有の美しさ
2.広がり・空間を分割し限定する
3.ある考え、すなわちシンボルを表現する
4.縁、あるいは輪郭で形を表す
5.特定の方向以上に目を向けさせる
6.グレー、すなわちトーンのグラデーションを生み出す
7.構図や配置を生み出す




真のアーティストにとっては、線は非常な高みにまで表現され、徹底した技術を必要とし、限りない美しさを表す。全ての線は機能と目的を持っていなければならない。

こうも記述してある。

レンズは捉えすぎる。
眼は選択する。

と。


リアルに描きすぎると絵を損なう恐れがあるという事を端的に表していると思う。
特に作品に消化させる時は、描かなくても良いものは描かない方がイイと思う。



これはアメリカの商業イラストレーターとして第１線で活躍していた人間の言葉だが、後世に技術を伝える為に、自分の技術を具体的な言葉とイラストを付けて発表した功績はとてつもなく大きいと思う。

我々は日本人であり、日本人は元々輪郭を強く描く事で絵を表現して来た。
浮世絵文化に見る線の多様さにハッとする瞬間が幾つもある。

非常な高みにまで表現された線だからだ。



学生時代の恩師にこういわれた事がある。

「一本線を引くとその日の体調が判る」


今なら少し理解出来る様な気がする。